うちのにっきちょう

何処へ行く?


<<<<<<<<<<<< うちのにっきちょう >>>>>>>>>>>>
ようこそわーい(嬉しい顔)
・・・
あなたにとって、なにか閃く処があれば幸いです

000000000
2019年04月03日

なんだろうね FYYの話し31

〜我、普段はここから山脈を三暮れ超えた高台の梢(こずえ)に留まるなり〜

「あら、何だろうね」
お女中らは、顔を見合って頸を傾げる。
男も何だろうと身を乗り出した。

「旦那さん、これ何だろうね」 と、声をかけたその時だった。

行灯の明かりが、風も無いのに震え瞬いて、部屋の明暗が揺らいだ。
おやっ?と、三人は床の間の漆喰(しっくい)に眼を奪われた。

「うわー、こ、これは」
男が、らしからぬ声をあげる。

そこには何と、千手観音の姿が影となって現れていた。
影はどんどん大きく成って、床板から天井に至り、
部屋は見る見る影に覆われる。


驚いた、お女中の一人が仰(の)け反って、後ろへ腕を廻した処・・、
「あっ!」。

これが行灯を倒した!。

さあ大変、溢(こぼ)れた油が畳に火を渡すと、
部屋はパッと明るくなって、
影は無くなり、瞬く間に炎で覆われる。

言わずもがなの有様は、散々たる状況と成り、
しかし旅籠は丸焼けを免れた。

命、辛辛逃げた客や奉公人は、寝静まる前とあって、
全員が裏の高台の竹薮へ逃れる事が出来たらしい。

ところが折悪く、此れを待って居たかの様に、
先日迄降り続いた長雨が祟ったか、
横手の山腹に積まれた土塁(どるい)が崩れ出して、

在ろう事か、
今正に焼け出された旅籠まで迫ったかと思うと、
あれよと言う間に、これを埋め尽して仕舞うではないか。

皆は、何の因果とばかりに震えて身を寄せ合い、
呆然とするのだった。


posted at 00:00
カテゴリー:FYY31〜40
エントリー:なんだろうね FYYの話し31
2019年04月05日

屋根の下 FYYの話し32★

夜が明けて来ると、そこは、がれ場の所々に、立ち枯れた木々が残る、
荒寥(こうりょう)と干上がった河床の様な、しかし、焦げた柱が現実を告げる風景。

そんな中で屋根が其の侭に落ちて、潰(つぶ)された一角がある。
砦(とりで)の様になって土砂を免れている。

傾(かたむ)いた梁(はり)には、焼け焦げて倒れかかった柱が、偶然、
筋交いとして間に合った形が出来上がり、空間を造り出していた。

屋根は唯一、それらしい形が残っているので、建物の何処の辺りだったのか、
見当すら付かない客人なども、淡ゆくば某かの手掛かりでも無いものかと、
失った物を探し求め来ては、肩を落して去って行くのだった。

男は恐ろしさの余り、お女中に手渡された紙を未だ握りしめていた。
手が開かないのだ。

男も梁を潜り、屋根の下へ踏み込んでみて、溜め息を一つ。
横になっている柱の角を蹴(け)り転がしてみる。すると、
面を替えた柱には、節の出っ張りが一つあった。

「おや?」
眼を遣(や)ると何故か、ふっと肩の力が抜けて、気が付くと手を開いて居た。
「出っ張りが動いた?」

何とそこには、象虫が節穴から顔を出して様子を窺っている。
つまり、ここは其の部屋だったのか、或いは柱だけが何かの理(ことわり)があって
此処に転がり在るのか。

或いは、この旅籠の柱の節穴には漏れなく象虫が住んでいるのか。
否、そんな事は無い。あの柱より象虫が現れた時のお女中らは、
驚嘆こそすれ、扱い慣れた様子など無かった。

見れば、柱のその面は左程焦げてはおらず、象虫は、
その誂(あつら)えた様な節穴から這い出した。

「うわ〜っ、逃げろ!、そっちへ向かったぞ、危ない!」





posted at 00:00
カテゴリー:FYY31〜40
エントリー:屋根の下 FYYの話し32★
2019年04月07日

いのしし FYYの話し33

何やら外が騒がしい。象虫を不思議がっている場合ではないらしい。
顔を上げるも、此処からは外の様子は見えないが、
人々の騒然とした殺気立つ声が漏れ聞こえる。

何と、猪(いのしし)が現れたと言う。
土塁(どるい)が崩れて、山腹の境を曖昧にした為、
これに乗じて畑を荒らしにやって来たのだと、近所の百姓だろうか、
遠吠えの様な叫び声が聴こえる。

一連の騒動で、何かの拍子に竹薮辺りから罷(まか)り来たのだろう。
暫く出ない方が良さそうだと、思う間もなく、声とも音とも付かぬ響きが周囲を廻る。

突然、ズシン・・と、何処かこの、崩れ落ちた軒にでも当りちらして、
更にズシンと同じ辺りを突く。
その拍子に、屋根裏辺りが崩れる程の振動。

「すわっ!」。
思わず眼が閉じて、頭を抱え、屈み込んだ。

しかし自ら起した鳴動に驚き慌てたか、音の主の猪らしきは、
取って返す様に遠ざかった気配だが・・、
男はそっと眼を開く。

その薄暗がりは、濛々(もうもう)と砂塵が立ち込めて、鳴動は屋根の一隅から、
幾筋かの光りを差し入れた。

と、男は眼に止ったものに、息を飲んだ。
一筋の光りが、慌て放って落とした紙を照らし出しているのだ。
砂塵に覆われた紙面は、処々に覘く文字を拾い読ませるがごとく、顕われた。

〜我、山脈三暮台の梢(こずえ)に留まるなり〜
と、読めるだろうか。

照らす光は節穴の奥をも、浮かび上がらせている。見れば中に象虫。
柱に掴まる黒い大きな象虫と比べれば、格段に小さい。


posted at 00:00
カテゴリー:FYY31〜40
エントリー:いのしし FYYの話し33

” うちのにっきちょう ”へご訪問下さりありがとうございますわーい(嬉しい顔)
本文でも触れてます様に体調不良ですが何とか
ガンバッテますぅ。よろしくっ 喫茶店 うち

0000000
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
『週刊ダイヤモンド』最新号購入&定期購読【最大45%おトク!!】
0000000
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
広告なしのブログ作るなら【JUGEM PLUS
0000000
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

0000000